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デメリットを逆手に素材感のある上質なリノベーション

デメリットを逆手に素材感のある上質なリノベーション

約90㎡のマンションのリフォーム計画です。
住戸に対して3面ぐるりと広いバルコニーが取り巻き、最上階であることの見晴らしと併せて、面積以上の広がりを感じます。

一方では、住戸内には動かすことのできない、上下階とつながる大きな柱状の構造体(ダクトスペース)が3つあり、今回のフルリノベーションでは、それらを上手く間取りに取り込みながら、玄関から続く広くのびやかなリビングダイニングと、機能的にぎゅっとまとめたキッチンなど水廻り、コンパクトな個室という、メリハリのある空間構成となっています。
動かせいダクトスペースの大きなボリュームを逆手に、敢えて大谷石仕上げとすることでオブジェのようなその存在感は、広い空間にさらに奥行き感じさせます。また出入りがしにくく視覚的な障害にもなっていた既存窓下の30cmほどの立ち上がりには、連続性を持たせるために大谷石のステップを設えました。

リフォーム前からお持ちになっていた素敵なビンテージの家具が馴染むよう、白い壁ではなく、ノイズ「斑」・素材感のある仕上げで、場所や材料ごとテクスチャーの違うものを丁寧に組み合わせました。動かせないコンクリートの壁には「大谷石」、梁形には「化粧せっこうボード」、壁や天井に「ジョリパット」、床には節のあるフローリング。「斑」の種類や大きさは違いますが、色調をグレイッシュに統一することにより、家具などの調度品と空間がうまくまとまっています。落ち着いた空間の中にも、子供室やキッチン壁などには、遊び心のあるタイルやクロスをアクセントに。

ブラインドからは柔らかな光が、西窓に設えたウッドシャッターからは美しい光の模様が差し込み、日々や季節を通していろいろな景色・表情を見せてくれます。

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時の流れに呼応した「4つの空間」を持つ多世帯住宅

外観

東京・調布市に建つ多世帯住宅。 時代と共に激しく変化する周辺環境と多様な住まいのあり方に対応する建物が求められた。 建蔽率40%が上限であり残りの60%は「庭」となる余白の演出がポイントとなった。 そこで専有部分である個室群を対角線上に配した。屋内外に広がる砂利や金属メッシュや磨りガラスにより、余白部分を共有部分とし、近隣との曖昧な視界のテクスチャーを図った。 敷地内には「屋内・半屋内・半屋外・屋外」と4つの異なる空間が、多様なグラデーションを生み出し、開口や空調をコントロールすることで住まいのあり方を生み出した。 また、親世代、子世代、下宿人により構成される多世帯住宅に求められた距離感をこの「余白」によって対応し、多様な住まい方を可能にした。 外観は敢えて「真新しさ」を求めることなく、時代の流れによる経年変化に重きを置いた。その土地固有の気候に応えるかのように、不均質に外観を造り上げ、自然な風化を求めるものとなった。 時の流れ、多種多様な住まいのあり方、時間の中で振る舞われる自然による変化。 この「風化」によって「4つの空間」を持つこの住宅はそれに応えている。

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SUGAWARADAISUKE 東京都   建築家